日本でも、ビットコイン(BTC)保有に動く上場企業がじわじわ増えている。
米マイクロストラテジー(現ストラテジー)が先駆けとなり、国内ではメタプラネットが先陣を切ったこの戦略。企業側には、金利の変動による資産目減りを防ぐ狙いやBTC保有を自社の革新性の一つとして打ち出し、株価上昇を狙う意図がある。不動産や金と同様に「価値の裏付け資産」と位置づけ、資産の分散化を図る動きは着実に広がりを見せている。中長期的な価格上昇を信じ、保有量を積極的に拡大する企業も少なくない。
一方で投資家にとっても、ETF(上場投資信託)未承認の日本市場では、こうした企業株を通じてBTCの価格上昇の恩恵にあずかることで、税制上のメリットを受けられる側面もある。
このように、企業と投資家の思惑が一致した結果、企業によるビットコイン保有の発表が株価上昇につながるという、従来の株式市場では見られなかった新たな潮流が形成されつつある。
6月は、メタプラネットの保有量が1万BTC(約1540億円、1BTC=1540万円換算)に到達し、その後も購入は止まらず、保有ランキングで世界7位に浮上。リミックスポイントは1000BTC(約154億円)に達し、こちらも節目を突破。アパレルブランドANAPはBTC建ての資金調達に踏み切るなど、財務戦略としての活用が一段と広がった1カ月となった。
──今回からスタートする、国内上場企業のビットコイン保有動向を定点観測するシリーズ。初回は6月に何が起き、市場が何に注目したのかをCoinDesk JAPANが報じた中からダイジェストで解説する。
* **事業:**ホテル運営、ビットコイン投資
2027年までに21万BTC(総供給量の約1%)を保有する目標を掲げ、6日には5億5500万株の新株予約権を発行し、約7673億円の資金を調達してBTCを追加購入する計画を発表。そのわずか10日後の16日には、総保有量が節目の1万BTCに達した。同社の保有量は国内では飛びぬけて多い。6月だけで、約4500BTC(約700億円相当)も保有量を伸ばした。
東証スタンダード上場のメタプラネット(証券コード:3350)の株価は、6月2日の始値は1060円。27日の終値は1490円だった。1万BTCの大台に乗った6月16日は、前日比+25.6%と上昇した。27日時点での同社の時価総額は、8951億円。
この時価総額は、大企業を中心とする東証プライム上場の日清食品HD(2897)やオムロン(6645)をも上回る数字だ。企業価値は本来、本業から得られる利益の将来予測に基づいて形成されるはずだが、メタプラネットでは、ビットコインの保有予定量が金や不動産などと同様に資産価値の裏付けとして認識され、株価を押し上げる要因となっている。同社に投資する一部の投資家の間では、企業価値の捉え方そのものが従来とは異なる様相を呈している。
(6月6日) メタプラネット、約7700億円の資金調達計画を発表──2027年までに21万BTCの保有を目指す
同社によると、これは日本最大規模の新株予約権の発行であり、市場価格に応じて行使価格が調整される「行使価格修正条項付き新株予約権(MSワラント)」が、国内で初めて現在の株価水準以上で発行された事例となる。
(6月16日) メタプラネット、ビットコイン保有10,000枚到達──コインベース抜き世界9位浮上
企業のビットコイン保有状況を追跡するBitcoin Treasuriesによると、メタプラネットの保有量は、大手暗号資産取引所コインベース(Coinbase:9267BTC保有)を上回り、世界で9番目に多くのビットコインを保有する企業となった。
(6月26日) メタプラネット、ビットコイン保有量でテスラ超え──世界7位の12345BTC
メタプラネットは6月26日、1234ビットコイン(BTC)を追加購入し、総保有枚数が1万2345BTCに達したと発表した。Bitcoin Treasuriesのデータによると、今回の購入によりメタプラネットの保有量は、電気自動車大手テスラ社(約1万1509BTC保有)を上回り、世界で7番目に多くのビットコインを保有する企業となった。
* 事業: エネルギー、メディカル
当初は、手持ちの余剰資金でビットコイン購入を開始したリミックスポイント。6月5日にはBTCの買い増し方針を公表し、当時約680BTCだった保有量を1000BTCまで引き上げると宣言した。メタプラネットと同様に、新株予約権の発行による資金調達をその原資としている。
発表から4日後の9日からは、4営業日連続でBTCを購入。13日には早くも目標を上回る1038BTCに到達したと発表し、宣言からわずか8日間で目標を達成した。さらに16日には、約2億円相当の追加購入も発表し、保有量は約1051BTCに拡大している。
同社(3825)は東証スタンダードに上場しており、6月2日の始値は485円。27日の終値は504円だった。
(6月5日) リミックスポイント、メタプラネット流戦略でビットコイン買い増し宣言──1000BTC保有目指す
リミックスポイントは6月5日、今後累計1000BTC以上のビットコイン(BTC)取得を目指すと発表した。同社は既に約680BTCを保有しており、今回の目標達成に向けて、新株予約権の発行を通じた資金調達を活用する。
(6月13日) リミックスポイント、4日連続ビットコイン購入で1000BTC保有目標を達成
6月13日、前日12日に8億8725万円相当のビットコインを追加購入したと発表した。これにより、同社が保有するビットコインの総量は約1038BTCとなり、目標に掲げていた1000枚を超えた。
* 事業: アパレル小売
同社は6月9日、8月期末までに1000BTC以上の保有を目指す方針を発表。同日には、国内上場企業としては初となる**「ビットコインを現物出資とする第三者割当増資」**の実施計画も明らかにした。
このスキームでは、調達総額のうち約80億円分を、株式会社キャピタルタイフーンがBTC現物で出資する形となる。7月18日に開催される臨時株主総会での承認が必要となるものの、実現すれば、従来の金融慣行とは一線を画す資金調達手法として注目を集めることになりそうだ。同社は5月末に保有量が100BTCを突破。6月には11日、12日、18日の計3回にわたる追加購入を実施。現時点での保有量は約184BTCに達している。
同社(3189)は東証スタンダードに上場しており、6月2日の始値は802円。27日の終値は1001円だった。
(6月9日) 国内初、ファッションブランドANAPがビットコインで資金調達──80億円分、本業領域での展開も計画か
6月9日、国内初となるビットコイン(BTC)による資金調達を実施すると発表した。同日開催の取締役会で、「ビットコインを現物出資とする第三者割当増資」の実施を決議した。同社は7月18日に開催される臨時株主総会での承認を条件に、7月22日に払い込みが完了する予定としている。
衣料品全国チェーンのマックハウスは12日、新たな成長戦略として「金融・投資・M&A事業」への進出を発表。その一環として暗号資産への投資方針を打ち出した。この発表を受け、東証スタンダード上場の同社株(7603)は翌13日に前日比+43.5%のストップ高気配となり、市場から強い関心を集めた。
さらに19日には、第三者割当による新株予約権の発行を通じた資金調達が完了したと発表。調達資金のうち、最大17億1500万円をBTCをはじめとする暗号資産の購入に充てる計画が決定された。
(6月19日) 衣料品のマックハウス、17億円分のビットコイン購入へ──メタプラ、リミポと同じ資金調達スキーム
今回の資金調達額は、当初予定の14億7600万円を上回る23億9100万円となった。同社はその理由を、新株予約権の平均行使価格が市場の評価を背景に想定を上回ったためと説明している。この計画超過分である9億1500万円は、全額が暗号資産の追加購入資金に充当される。
* 事業: 自動車用樹脂部品メーカー
6月も終盤に差しかかった26日、非金融系上場企業による新たなBTC購入計画が発表された。トラックや商用車向け部品を手がける同社(7273)は7月から1年間、毎月最大1億円分のBTC購入を実施するとしている。この発表を受け、同日の株価は前日比0.3%の上昇で取引を終えた。
(6月26日) 自動車用樹脂部品メーカーのイクヨ、ビットコインを最大12億円購入へ
6月26日、「定款変更に伴う新規投資方針の決定に関するお知らせ」を発表し、7月から1年間にわたって「毎月最大1億円程度のビットコインを購入」することを明らかにした。
* 事業: インターネット広告
6月26日には、インターネット広告業のアジャイルメディアネットワークも、5億円の暗号資産追加購入計画を発表。同社(6573)は東証グロース上場で、4月には1000万円相当のビットコインを購入したと発表している。
(6月26日) アジャイルメディア、5億円相当のビットコイン追加購入へ──資金使途を変更
インターネット広告業の東証グロース上場企業アジャイルメディア・ネットワークは6月26日、新株予約権による調達資金の使途を変更し、新たに5億円を暗号資産の購入に充当すると発表した。
なお、今回取り上げた企業をはじめ、他にもビットコインを保有、または購入を発表している国内企業は少なくない。下の一覧からも、その広がりが読み取れるはずだ。来月は、このリストに名を連ねる企業の中からさらなる動きが出るのか。それとも、「新顔」が登場するのか。今後の展開にも注目が集まる。
メタプラネット(3350) 事業:ホテル運営、ビットコイン投資 購入総額:1756億8400万円 保有量: 1万2345BTC 概要: 「ビットコインオンリー」戦略を掲げ、株式と社債の発行を通じて購入資金を調達。世界のビットコイン保有企業ランキング7位。 NEXON(ネクソン)(3659) ・事業:ゲーム開発 ・購入総額:111億円 ・保有量:1717BTC ・概要:2021年4月に購入。平均購入価格は1BTC当たり5万8226ドル。 リミックスポイント(3825) 事業: エネルギー、メディカル 保有量: 約1051BTC 概要:イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、エックス・アール・ピー(XRP)などのアルトコインも保有。 gumi(3903) ・事業: モバイルゲーム開発 ・購入:10億円相当のBTC購入を2025年2月に発表。 ・概要: 2025年6月11日には、SBIホールディングスと共同で上場暗号資産を運用対象とするファンドの組成を発表。 ANAPホールディングス(3189) 事業: アパレル小売 購入総額: 約27億5000万円 保有量:184.6735BTC 概要: 2025年2月に連結子会社としてANAPライトニングキャピタルを設立し、投資事業を開始した。 マックハウス(7603) 事業:アパレル小売 購入総額:最大17億1500万円をBTCをはじめとする暗号資産購入に充てると発表。 概要: 6月から新戦略として「金融・投資・M&A事業」を開始。管理統括本部内に「デジタル資産運用グループ」を新設した。 AIフュージョンキャピタルグループ(254A) ・事業: 証券、商品先物取引 ・購入総額:3億円 ・保有量:24.63449278BTC ・概要:2025年3月11日、5億円相当のビットコイン購入を決議。 SBCメディカルグループホールディングス ・事業: 美容、医療 ・購入総額:約6000万円 ・保有量: 5BTC ・概要:湘南美容クリニックがルーツ。 GFA Capital(8783) ・事業: 投資/ファンド運用 ・購入総額:2025年2月、3億円を上限に購入を発表。 ・概要:ショートポジション決済で利益を確定する動きも。 バリュークリエーション(9238) ・事業: マーケティング、不動産DX ・購入総額:3億円 ・概要:6月4日、1億円のBTCを追加購入。 enish(エニッシュ)(3667) ・事業: モバイルゲーム開発 ・購入総額: 1億円 ・概要: ブロックチェーンゲーム「De:Lithe Last Memories」を提供。 エス・サイエンス(5721) ・事業: 金属加工 ・購入総額: 2025年7月から投資事業開始予定。 ・概要: ニッケル製品の販売や不動産事業を展開する1946年設立の老舗企業。 北日本紡績(3409) ・事業:繊維メーカー ・購入総額:2025年7月上旬から投資事業開始予定。 ・概要:本社は石川県、ポリエステル紡績や複合糸の開発を行う。 イクヨ(7273) ・事業:自動車用樹脂部品メーカー ・購入総額:2025年7月から1年間、毎月最大1億円程度のビットコイン購入を予定。 ・概要:1947年創業。車やトラックの内装・外装装備品の開発、製造販売を行う。 アジャイル(6573) ・事業:インターネット広告業 ・購入総額:約1000万円 ・概要:6月26日、5億円相当のBTC追加購入計画を発表した。 【注釈】 ・本リストはCoinDesk JAPAN調べに基づき、6月27日時点で企業による公式発表があったものをまとめたものです。 ・このため、未発表の事例等、全てのビットコイン購入企業・事例を網羅するものではありません。 ・記載の数値は、発表当時の情報や為替レート等に基づく参考値を含みます。 ・世界のビットコイン保有企業の最新情報はBitcoin Treasuriesから確認できます。
メタプラネット(3350) 事業:ホテル運営、ビットコイン投資 購入総額:1756億8400万円 保有量: 1万2345BTC 概要: 「ビットコインオンリー」戦略を掲げ、株式と社債の発行を通じて購入資金を調達。世界のビットコイン保有企業ランキング7位。
NEXON(ネクソン)(3659) ・事業:ゲーム開発 ・購入総額:111億円 ・保有量:1717BTC ・概要:2021年4月に購入。平均購入価格は1BTC当たり5万8226ドル。
リミックスポイント(3825) 事業: エネルギー、メディカル 保有量: 約1051BTC 概要:イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、エックス・アール・ピー(XRP)などのアルトコインも保有。
gumi(3903) ・事業: モバイルゲーム開発 ・購入:10億円相当のBTC購入を2025年2月に発表。 ・概要: 2025年6月11日には、SBIホールディングスと共同で上場暗号資産を運用対象とするファンドの組成を発表。
ANAPホールディングス(3189) 事業: アパレル小売 購入総額: 約27億5000万円 保有量:184.6735BTC 概要: 2025年2月に連結子会社としてANAPライトニングキャピタルを設立し、投資事業を開始した。
マックハウス(7603) 事業:アパレル小売 購入総額:最大17億1500万円をBTCをはじめとする暗号資産購入に充てると発表。 概要: 6月から新戦略として「金融・投資・M&A事業」を開始。管理統括本部内に「デジタル資産運用グループ」を新設した。
AIフュージョンキャピタルグループ(254A) ・事業: 証券、商品先物取引 ・購入総額:3億円 ・保有量:24.63449278BTC ・概要:2025年3月11日、5億円相当のビットコイン購入を決議。
SBCメディカルグループホールディングス ・事業: 美容、医療 ・購入総額:約6000万円 ・保有量: 5BTC ・概要:湘南美容クリニックがルーツ。
GFA Capital(8783) ・事業: 投資/ファンド運用 ・購入総額:2025年2月、3億円を上限に購入を発表。 ・概要:ショートポジション決済で利益を確定する動きも。
バリュークリエーション(9238) ・事業: マーケティング、不動産DX ・購入総額:3億円 ・概要:6月4日、1億円のBTCを追加購入。
enish(エニッシュ)(3667) ・事業: モバイルゲーム開発 ・購入総額: 1億円 ・概要: ブロックチェーンゲーム「De:Lithe Last Memories」を提供。
エス・サイエンス(5721) ・事業: 金属加工 ・購入総額: 2025年7月から投資事業開始予定。 ・概要: ニッケル製品の販売や不動産事業を展開する1946年設立の老舗企業。
北日本紡績(3409) ・事業:繊維メーカー ・購入総額:2025年7月上旬から投資事業開始予定。 ・概要:本社は石川県、ポリエステル紡績や複合糸の開発を行う。
イクヨ(7273) ・事業:自動車用樹脂部品メーカー ・購入総額:2025年7月から1年間、毎月最大1億円程度のビットコイン購入を予定。 ・概要:1947年創業。車やトラックの内装・外装装備品の開発、製造販売を行う。
アジャイル(6573) ・事業:インターネット広告業 ・購入総額:約1000万円 ・概要:6月26日、5億円相当のBTC追加購入計画を発表した。
【注釈】 ・本リストはCoinDesk JAPAN調べに基づき、6月27日時点で企業による公式発表があったものをまとめたものです。 ・このため、未発表の事例等、全てのビットコイン購入企業・事例を網羅するものではありません。 ・記載の数値は、発表当時の情報や為替レート等に基づく参考値を含みます。 ・世界のビットコイン保有企業の最新情報はBitcoin Treasuriesから確認できます。
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メタプラネット、1万BTC突破し保有量世界7位に──ビットコインは企業財務の新潮流か?【ビットコイン保有企業news:6月】 | CoinDesk JAPAN(コインデスク・ジャパン)
日本でも、ビットコイン(BTC)保有に動く上場企業がじわじわ増えている。
米マイクロストラテジー(現ストラテジー)が先駆けとなり、国内ではメタプラネットが先陣を切ったこの戦略。企業側には、金利の変動による資産目減りを防ぐ狙いやBTC保有を自社の革新性の一つとして打ち出し、株価上昇を狙う意図がある。不動産や金と同様に「価値の裏付け資産」と位置づけ、資産の分散化を図る動きは着実に広がりを見せている。中長期的な価格上昇を信じ、保有量を積極的に拡大する企業も少なくない。
一方で投資家にとっても、ETF(上場投資信託)未承認の日本市場では、こうした企業株を通じてBTCの価格上昇の恩恵にあずかることで、税制上のメリットを受けられる側面もある。
このように、企業と投資家の思惑が一致した結果、企業によるビットコイン保有の発表が株価上昇につながるという、従来の株式市場では見られなかった新たな潮流が形成されつつある。
6月は、メタプラネットの保有量が1万BTC(約1540億円、1BTC=1540万円換算)に到達し、その後も購入は止まらず、保有ランキングで世界7位に浮上。リミックスポイントは1000BTC(約154億円)に達し、こちらも節目を突破。アパレルブランドANAPはBTC建ての資金調達に踏み切るなど、財務戦略としての活用が一段と広がった1カ月となった。
──今回からスタートする、国内上場企業のビットコイン保有動向を定点観測するシリーズ。初回は6月に何が起き、市場が何に注目したのかをCoinDesk JAPANが報じた中からダイジェストで解説する。
メタプラネット
■今月のハイライト
2027年までに21万BTC(総供給量の約1%)を保有する目標を掲げ、6日には5億5500万株の新株予約権を発行し、約7673億円の資金を調達してBTCを追加購入する計画を発表。そのわずか10日後の16日には、総保有量が節目の1万BTCに達した。同社の保有量は国内では飛びぬけて多い。6月だけで、約4500BTC(約700億円相当)も保有量を伸ばした。
東証スタンダード上場のメタプラネット(証券コード:3350)の株価は、6月2日の始値は1060円。27日の終値は1490円だった。1万BTCの大台に乗った6月16日は、前日比+25.6%と上昇した。27日時点での同社の時価総額は、8951億円。
この時価総額は、大企業を中心とする東証プライム上場の日清食品HD(2897)やオムロン(6645)をも上回る数字だ。企業価値は本来、本業から得られる利益の将来予測に基づいて形成されるはずだが、メタプラネットでは、ビットコインの保有予定量が金や不動産などと同様に資産価値の裏付けとして認識され、株価を押し上げる要因となっている。同社に投資する一部の投資家の間では、企業価値の捉え方そのものが従来とは異なる様相を呈している。
(6月6日)
メタプラネット、約7700億円の資金調達計画を発表──2027年までに21万BTCの保有を目指す
(6月16日)
メタプラネット、ビットコイン保有10,000枚到達──コインベース抜き世界9位浮上
(6月26日)
メタプラネット、ビットコイン保有量でテスラ超え──世界7位の12345BTC
リミックスポイント
■今月のハイライト
当初は、手持ちの余剰資金でビットコイン購入を開始したリミックスポイント。6月5日にはBTCの買い増し方針を公表し、当時約680BTCだった保有量を1000BTCまで引き上げると宣言した。メタプラネットと同様に、新株予約権の発行による資金調達をその原資としている。
発表から4日後の9日からは、4営業日連続でBTCを購入。13日には早くも目標を上回る1038BTCに到達したと発表し、宣言からわずか8日間で目標を達成した。さらに16日には、約2億円相当の追加購入も発表し、保有量は約1051BTCに拡大している。
同社(3825)は東証スタンダードに上場しており、6月2日の始値は485円。27日の終値は504円だった。
(6月5日)
リミックスポイント、メタプラネット流戦略でビットコイン買い増し宣言──1000BTC保有目指す
(6月13日)
リミックスポイント、4日連続ビットコイン購入で1000BTC保有目標を達成
ANAPホールディングス
■今月のハイライト
同社は6月9日、8月期末までに1000BTC以上の保有を目指す方針を発表。同日には、国内上場企業としては初となる**「ビットコインを現物出資とする第三者割当増資」**の実施計画も明らかにした。
このスキームでは、調達総額のうち約80億円分を、株式会社キャピタルタイフーンがBTC現物で出資する形となる。7月18日に開催される臨時株主総会での承認が必要となるものの、実現すれば、従来の金融慣行とは一線を画す資金調達手法として注目を集めることになりそうだ。同社は5月末に保有量が100BTCを突破。6月には11日、12日、18日の計3回にわたる追加購入を実施。現時点での保有量は約184BTCに達している。
同社(3189)は東証スタンダードに上場しており、6月2日の始値は802円。27日の終値は1001円だった。
(6月9日)
国内初、ファッションブランドANAPがビットコインで資金調達──80億円分、本業領域での展開も計画か
マックハウス
■今月のハイライト
衣料品全国チェーンのマックハウスは12日、新たな成長戦略として「金融・投資・M&A事業」への進出を発表。その一環として暗号資産への投資方針を打ち出した。この発表を受け、東証スタンダード上場の同社株(7603)は翌13日に前日比+43.5%のストップ高気配となり、市場から強い関心を集めた。
さらに19日には、第三者割当による新株予約権の発行を通じた資金調達が完了したと発表。調達資金のうち、最大17億1500万円をBTCをはじめとする暗号資産の購入に充てる計画が決定された。
(6月19日)
衣料品のマックハウス、17億円分のビットコイン購入へ──メタプラ、リミポと同じ資金調達スキーム
イクヨ
■今月のハイライト
6月も終盤に差しかかった26日、非金融系上場企業による新たなBTC購入計画が発表された。トラックや商用車向け部品を手がける同社(7273)は7月から1年間、毎月最大1億円分のBTC購入を実施するとしている。この発表を受け、同日の株価は前日比0.3%の上昇で取引を終えた。
(6月26日)
自動車用樹脂部品メーカーのイクヨ、ビットコインを最大12億円購入へ
アジャイルメディアネットワーク
■今月のハイライト
6月26日には、インターネット広告業のアジャイルメディアネットワークも、5億円の暗号資産追加購入計画を発表。同社(6573)は東証グロース上場で、4月には1000万円相当のビットコインを購入したと発表している。
(6月26日)
アジャイルメディア、5億円相当のビットコイン追加購入へ──資金使途を変更
BTC購入、または購入を発表した国内企業
なお、今回取り上げた企業をはじめ、他にもビットコインを保有、または購入を発表している国内企業は少なくない。下の一覧からも、その広がりが読み取れるはずだ。来月は、このリストに名を連ねる企業の中からさらなる動きが出るのか。それとも、「新顔」が登場するのか。今後の展開にも注目が集まる。
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ビットコイン 購入
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