金融庁が仮想通貨WG第1回会合を開催、金商法活用で本格検討へ

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金融庁は31日、暗号資産に関するワーキンググループの第1回会合を開催し、暗号資産を資金決済法から金融商品取引法(金商法)の規制枠組みに移行させる方向で検討を開始した。

委員からは制度移行への賛成意見が相次ぐ一方、投資家保護の観点から慎重な意見も示された。

暗号資産市場の現状と投資家層の拡大

日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)の白石副会長は、グローバルな暗号資産市場の時価総額が2023年の131兆円から2025年には400兆円超まで成長していると報告した。

一方で国内年間取引金額は2022年度の10兆円から2024年度の20兆円と、成長率でグローバル市場に後れを取っている現状が明らかになった。

国内の暗号資産口座数は1,213万口座、預かり資産は5兆円を超える規模に達している。白石氏によると、相対的にグローバルでのプレゼンスが低下している状況である。

JCBAは、2021年のHashpalette社による国内初のIEO以降、2024年までに11件のIEOが実施され、多様な企業の資金調達ニーズに応えていることも報告した。トークンエコノミーの形成を通じた新たな資金調達モデルが定着しつつある。

投資家の実態について、JCBAは年収700万円未満の中間層が7割を占め、長期保有意向が86%以上に達すると説明した。当初想定されていた30代・40代中心から、20代や50代以上を含む全年齢層に投資家層が拡大している。

機関投資家の参入も顕著である。米国では企業がビットコインを準備資産として保有するケースが増加している。政府レベルでも米国の一部州がビットコインを州の準備資産として保有する動きが見られる。

テキサス州では実際に州予算から実験的にビットコインの購入を開始している。米国の現物ETF市場は1,000億ドルを超え、その4割を機関投資家が保有している。

自主規制団体による監督体制と規制検討の方向性

日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)の小田会長は、認定自主規制団体としての活動実績を報告した。年間10社以上の会員監査を実施し、特に以下の3分野を重点的に監督している。

  • AML/CFT(マネーロンダリング対策)
  • システムリスク管理(セキュリティ対策含む)
  • 利用者保護(取引開始基準等)

また、新規暗号資産の取扱いに際しては、会員による審査に加えてJVCEAが事前確認を行う体制を構築している。IEO案件については、プロジェクトの適法性、実現可能性、販売価格の妥当性等を審査している。

事務局は暗号資産を以下の2類型に分けて規制する方針を提示した。

類型1(資金調達・事業活動型)
資金調達手段として発行されるもので、発行者への直接的な情報開示義務を検討している。調達資金の利用目的や内容について、情報の非対称性を解消する必要性が高いとされる。

類型2(その他の暗号資産)
ビットコインなど既存の流通資産で、交換業者を通じた規制を継続する。特定の発行者を観念できないものが多く、交換業者への情報提供義務で対応する方針である。

委員からの意見

松井委員(東京大学)は「制度上必要な手当てを行わないことはかえってデメリットが大きい」として制度整備を支持した。伊藤委員(弁護士)も「規制法は目的と手段が合っていることが重要」として、投資対象化が進む現状を踏まえた金商法での規制に賛成を表明した。

有吉委員(弁護士)はディスカッションペーパーの方向性に賛成する一方、「具体的な制度設計は非常に難しい論点が山積」と課題の複雑さを指摘した。

松尾真一郎委員(ジョージタウン大学)は、規制設計において「持続性(100年続く制度)、セキュリティ、イノベーティブな対応(規制対象が特定できない状況への対処)、国際的視点」の4つの重要性を強調した。

一方で慎重な意見も示された。永沢委員(Foster Forum)は、若年層や収入が多くない層の暗号資産投資が増加している現状に懸念を表明。「安定的な資産形成を優先すべき一般家庭への影響を考慮し、適切な規制整備が必要」と指摘した。投資リスクを十分理解できる投資家に限定する仕組みの重要性を強調している。

岩下委員(京都大学)は技術的な観点から課題を指摘した。2018年のコインチェック事件では「580億円のNEMが盗難され、ブロックチェーン上で追跡できたにも関わらず対応が困難だった」事例を挙げ、セキュリティ面での構造的な課題があることを説明。「暗号資産特有のリスクを踏まえ、従来の金融システムとは異なる規制アプローチが必要」との見解を示した。

主要課題と今後の方向性

事務局は検討すべき主要課題として以下を提示した。

  1. 情報開示・提供の充実

ホワイトペーパーの記載内容不明確さへの対応、実際のコードとの乖離問題 2. 無登録業者対策

詐欺的勧誘の多発(月平均300件以上の苦情)、海外業者も含めた対応強化 3. 投資助言・セミナー規制

オンラインサロン等での金銭詐取疑い事案への対応 4. 取引公正性確保

インサイダー取引規制の導入検討(IOSCO勧告、欧州・韓国の法制化動向を踏まえ)

現行の資金決済法と金商法では、以下のような規制の違いがある。

  • 罰則
    無登録営業は資金決済法で3年以下の懲役、金商法では5年以下の懲役
  • 監督体制
    金商法では証券取引等監視委員会の検査対象となり、裁判所の緊急差止命令も可能
  • 業態の柔軟性
    金商法では業務内容や顧客属性に応じた規制の柔構造化が可能

4月に実施されたパブリックコメントでは40件の意見が寄せられ、現状認識や環境整備の必要性についてはおおむね賛同が得られた。暗号資産をオルタナティブ投資として位置づけることにも賛成意見が多かった。

一方で、暗号資産の分類方法については「明確な基準を示してほしい」「グローバルスタンダードに合わせてほしい」との要望も寄せられている。また、「NFTについては早期に検討を開始すべき」「プロ私募や少人数私募などの柔軟な制度設計を」といった具体的な提案も出されている。

政府は「新しい資本主義のグランドデザイン実行計画2025改訂版」で、暗号資産を「国民の資産形成に資する金融商品」として位置づけ、投資家保護のための制度整備法案を早期に国会提出する方針を閣議決定している。分離課税の導入を含めた税制面の見直しについても言及されている。

ワーキンググループでは今後、具体的な分類基準の策定や情報開示義務の内容、インサイダー取引規制の導入方法などについて詳細な検討を進める予定である。特に、暗号資産の技術的特性を踏まえた実効性のある規制設計が課題となる。

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