資金調達1,700万ドル！Panteraがリード投資するステーブルコイン決済アプリFinは何を変えるのか？

Finの背後にいるチームは、著名なフィンテック企業Citadel出身であり、伝統的なクロスボーダー決済における非効率性や高額な手数料という痛点に狙いを定めています。

資金調達は、暗号資産分野のトップ投資機関であるPantera Capitalがリードし、伝統的なベンチャーキャピタルの巨頭Sequoiaや、サムスングループ傘下のSamsung Nextがフォロー投資しています。この「暗号ネイティブ＋伝統的トップ」な資本構成自体が、強い市場シグナルとなっています。

01 事件の核心：Finが資本の注目を集めた理由

暗号決済分野に新たな重量級プレイヤーが登場しました。元Citadel社員によって設立されたステーブルコインアプリFinは、2025年12月初旬に1,700万ドルの資金調達を完了したと発表しました。

今回のリードインベスターであるPantera Capitalは、暗号資産投資分野のパイオニアであり、トレンドセッターです。

同社の投資領域はFinに限らず、最近ではSolanaのトランザクション予測性向上を目指す基盤プロジェクトRaikuや、分散型AIプロジェクトGradient Networkへのリード投資も行い、基盤インフラとアプリケーションの両面で幅広い投資を展開しています。

Finのビジネスモデルは、明確かつ巨大な市場――大口のクロスボーダーおよび国内送金、特に輸出入取引における決済シーン――にフォーカスしています。

本アプリは、ユーザーが他のFinユーザー、従来の銀行口座、または暗号ウォレットへの送金をサポートし、従来の銀行チャネルよりも高速かつ大幅に低手数料でのサービスを約束しています。現時点でアプリは正式リリース前であり、来月に輸出入業界の企業間でパイロット導入を予定しています。

02 プロダクト分析：Finはどのように決済の痛点を解決するのか

Finが狙う市場の痛点は明確かつ頑固です。伝統的な国際送金は通常1～5営業日を要し、中継銀行手数料が発生し、為替コストも不透明です。輸出入ビジネスを営む企業にとって、資金効率は運営コストや競争力に直結します。

Finのソリューションはステーブルコインに依存しています。ステーブルコインは米ドルなど法定通貨に連動し、送金はブロックチェーン上で行われるため、理論上は数分レベルで着金可能であり、手数料構造も透明かつ低コストです。

Gate研究院による2025年9月のWeb3資金調達パノラマ分析によると、ブロックチェーンサービスとCeFiが「二大エンジン」となっており、決済・クロスボーダー決済は注目度急上昇のトラックです。Finのモデルは、まさにこの二つのトラックの交差点に位置しています。

本アプリの収益モデルは二重構造で、送金手数料とステーブルコイン準備金による利息収入が柱です。これはFinが単なる決済フローの獲得にとどまらず、資金を滞留させて収益を生む金融エコシステムの構築を目指していることを示しています。

03 市場トレンド：ステーブルコインとCeFiの力強い回帰

Finの資金調達成功は決して孤立した出来事ではなく、2025年の暗号資本市場における一連のトレンドの集約です。

業界調査機関RootDataのレポートによると、2025年上半期の暗号一次市場の資金調達総額は77.5億ドルに達し、その中でCeFiトラックの資金調達額は前年比479.7%急増し、再び資本の主導権を獲得しました。

ステーブルコイン市場自体も急拡大しています。2024年10月末から2025年上半期にかけて、グローバルなステーブルコインの総時価総額は約1,600億ドルから2,400億ドルへと急速に増加しました。

この成長は、ステーブルコインを基盤とする金融アプリケーションに十分な流動性と市場基盤をもたらしています。コンプライアンスが明確で実収益の見込めるCeFiプロジェクトへの資本集中は、明確なトレンドとなっています。

Pantera Capitalなどの機関によるFinへの投資は、「コンプライアンス対応ステーブルコイン決済」という細分化トラックへの戦略的なベットと捉えられます。これは単なる取引所やレンディングプロトコルとは異なり、暗号資産と伝統金融世界を直接つなぐ決済パイプラインであり、そのコンプライアンス要件や成長ポテンシャルは大きな注目を集めています。

04 資本の論理：投機的ストーリーから価値創造へ

現在、暗号資本市場の投資ロジックは大きく変化しつつあります。Gate研究院は、市場が「高頻度・高額の投機フェーズ」から「厳選された高品質・安定成長フェーズ」へ移行していると指摘しています。資本は、明確なビジネスモデルと長期的なエコシステム価値を持つプロジェクトにますます集中しています。

2025年9月の資金調達では、5,000万ドル以上の大型調達案件の割合が上昇し、資金はトップや成熟プロジェクトへの集中を加速させています。

Finのように、シードやアーリーステージで1,000万ドル級の資金を調達できるプロジェクトは、現実世界の課題解決力、経験豊富なチーム、スケーラブルなビジネスモデルを示す必要があります。

Pantera Capitalがリードし、SequoiaおよびSamsung Nextが参画したことで、Finはトップクラスの資本支援と潜在的なエコシステム資源を手にしました。こうしたバックアップは、プロジェクト初期の発展や、伝統的な輸出入企業との提携、複雑なコンプライアンス処理の場面で非常に重要となります。

05 Gate視点：エコシステム発展とユーザーの機会

Gate.ioのトレーダーやエコシステム参加者にとって、Finのようなアーリーステージの有望プロジェクトに注目することには多重の意義があります。

一方で、「ブロックチェーン＋リアルワールド決済」の交点が巨大な可能性を爆発させていることを示し、ユーザーが市場のストーリーを理解し、業界全体の大きなトレンドを捉える助けとなります。

他方で、Gate研究院はWeb3資金調達の動向を継続的に追跡しており、プラットフォームが業界最前線に深く関与していることを示しています。こうした研究力により、Gateコミュニティのユーザーは価値発見のタイミングを早め、革新的プロジェクトの背後にある論理を理解しやすくなります。

Gateプラットフォーム自体も、決済、ステーブルコイン、パブリックチェーンなどと関連する資産パフォーマンスを追跡できる豊富なデータや取引ペアを提供しています。業界最前線の資金調達動向や詳細な調査レポートに常に注目することは、急速に変化する暗号市場に身を置く上で非常に重要なスキルです。

今後の展望

現在、Finアプリはまだ正式公開されておらず、来月に輸出入業界の企業間でパイロット導入を予定しています。公式ウェブサイトも完全には公開されておらず、チーム背景や詳細な技術アーキテクチャも今後さらに明らかになる見込みです。

パイロット運用が進む中で、市場はFinの主張する送金速度やコストの優位性がリアルなビジネスシーンで通用するかを検証していくことになります。このスタートアップ企業の今後の一歩一歩が、世界のステーブルコイン決済の勢力図に微妙な変化をもたらすかもしれません。