Pendle (PENDLE) 深堀り解析：DeFi 固定収益のリーダー、未来の収益はどう取引する？

Pendleプロトコルの総ロック価値（TVL）は2025年9月に121億ドルを超え、過去最高記録を達成しました。この数字はわずか2か月でほぼ倍増し、市場がそのコアバリューを認めていることを示しています。

2025年12月4日現在、ガバナンストークンであるPENDLEはGateで2.66ドル、市場時価総額は約7億4400万ドルで、全市場で第65位となっています。

01 コアメカニズム：未来収益を分解する金融レゴ

Pendleの最大のイノベーションは、独自にイールド資産を分解する点にあります。簡単に言えば、収益を生む資産（例：ステーキングされたETHやイールドステーブルコイン）を、元本トークン（PT）とイールドトークン（YT）の2つに分離する仕組みです。

PTは資産の将来の元本を表します。保有者は満期後に1:1で元の資産を償還できますが、満期前は通常、額面割れで市場取引されます。このディスカウントが固定年率リターンをロックします。

例えば、1ドル満期のPTを0.95ドルで購入すれば、固定利回りを確保できることになります。

YTは満期までに発生するすべての将来収益を表します。YTの買い手は一括で資金を支払い、その資産の将来の変動収益権を買い取り、平均以上のリターンを狙います。この巧妙な分割によって、リスク回避型は確実性を、リスク志向型はボラティリティの高いリターンを獲得できる、ウィンウィンな構造が生まれます。

この仕組みは市場で何度もストレステストされています。過去1年でPendleは27回の大規模満期イベントを処理し、そのうち7回は単一イベントで10億ドル超の規模でしたが、いずれも安定して乗り切り、プロトコルの高い耐久性を証明しました。

02 市場パフォーマンスと価格全景

Pendleの価格推移は変動とチャンスに満ちています。過去最高値（ATH）は7.50ドル、過去最安値（ATL）はわずか0.03377ドル。その大きなボラティリティはリスクでありながら、大きな可能性も秘めています。

Gateの12月4日時点データによると、PENDLEの24時間取引高は1億4300万ドル。当日は価格調整が入り、24時間で0.46%下落しましたが、直近7日間では2%上昇を維持しています。

時価総額では、PENDLEは現在約7億4400万ドルで世界暗号資産ランキング65位、流通供給量は1億6400万枚です。

市場の熱気はデリバティブ分野にも表れています。2025年8月の上昇局面では未決済建玉（OI）が1億6300万ドルに達し、多額の資金が価格動向を注視していることがわかります。

03 今後の成長を支える戦略エンジン

Pendleは現状に満足せず、2025年のロードマップで「Citadel」と名付けた大規模な拡張戦略を掲げています。

まず、クロスチェーン展開により新たな成長を獲得します。PendleはSolana、TON、Hyperliquidなど非EVM系チェーンにも進出予定。これらのエコシステムは急速に成長していますが、成熟した固定利回りインフラが不足しており、Pendleにとって広大なブルーオーシャン市場となります。

次に、機関投資家の導入促進。PendleはKYC準拠ソリューションを構築し、ライセンスド投資マネージャーと協力してオンチェーン固定利回り商品を伝統的な機関投資家が慣れ親しんだコンプライアンス構造にパッケージ化し、100兆ドル規模のグローバル伝統債券市場の一部を取り込もうとしています。

最後に、ファンディングレート市場への進出です。Boros計画を通じて、パーペチュアル契約のファンディングレート領域に固定金利取引を導入することを目指しています。日次取引高が2,000億ドル規模の巨大市場であり、現在は有効なヘッジ手段が不足。成功すれば、PendleはDeFi利回りプロトコルから全チェーン上の金利取引プラットフォームへと進化します。

04 価格予測と市場展望

ファンダメンタルズと成長見通しに基づき、市場はPendleの将来価格について長期的に楽観的な見方を持っています。Gateが提供する価格予測モデルは今後数年間のシナリオを示しています。

表：Pendle (PENDLE) 長期価格予測概要

予測によると、2030年にはPENDLEの平均価格が4.43ドルに達し、現価格比で82%の上昇余地があるとされ、最高値は6.29ドルに到達する可能性も示唆されています。その根拠は、DeFi固定利回りという重要分野でのPendleのトップポジションとエコシステムの継続的拡大にあります。

05 エコシステムドリブンとバリューキャプチャー

Pendleの成功は例外ではなく、すでに繁栄するエコシステム（“Pencosystem”）の原動力となっています。提携プロジェクトにとっては、Pendle上で流動性プールを開設することが成長戦略として不可欠になっています。

例えば、リキッドステーキングプロトコルEther.fiのeETHはPendle上場後、プロトコルTVLが半年で15倍に増加。イールドステーブルコインはPendleを主要なローンチパッドと見なしています。EthenaのUSDeは時価総額100億ドルに成長する過程で、最大時は資産の50%がPendleを経由して取引・イールドロックされていました。

この強力なエンパワーメントがPendleの堀を強固にしています。ガバナンストークンPENDLEの価値もこれと密接に連動。トークン保有者はステーキングによりプロトコル収益の一部を受け取り、ガバナンスにも参加できるため、プロトコル成長の価値を直接享受できます。

今後の展望

EthenaのUSDeがPendle上で発行したPTトークンが機関投資家に瞬時に買い尽くされ、1億ドル規模の流動性プールが1時間足らずで満杯となりました。

これは、伝統金融の巨大な資本がコンプライアンスを通じて流入し始めた時、すでに累計で数百億ドル超の満期資産を処理してきたこのプロトコルの舞台が、いよいよ本格的に幕を開けることを示唆しています。